御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
コーヒーを手にしたままの彼が、うっとりとしたような瞳で私をじっと見つめながらつぶやくので、心臓が飛び出しそうだ。


「あっ……と……。ね、寝ませんから!」


どうしよう。また耳が赤くなっているに違いない。
焦りに焦って、視線を落としながらなんとか返すと、彼はまたクスッと笑った。

冗談を冗談で返されただけなのに……。あんなこと、言うんじゃなかった。


「まぁ、気をつける。こうやって心配されるのも悪くないな」


彼は優しく微笑みそう付け足すので、私はうなずいた。


ひとり暮らしだと、こんなことは言ってもらえない。
実家にいる頃は『放っておいて』とか『口うるさい』なんて思ったこともあったけど、それがなくなると、心配してもらえるということのありがたみが身に染みてわかる。


「今日は家具を買いに行く」

「家具ですか? なにか足りないものがあるんですか?」
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