御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
すごく真面目な人なんだ。


「さっき、英莉と出かけて楽しかった。それなのにまたこれだ」


彼はテーブルに置いた雑誌に視線を落とす。


「それじゃあ、楽しみましょうよ。あっ、でも、あんまりお金を使うのはちょっと……」


私が付け足すと、彼はクスッと笑みを漏らす。

そう、その顔。
普段の彼もとてつもなくかっこいいけど、そういう優しい表情はもっといい。

といっても……男の人と一緒になにをしたらいいんだろう。
大きな口を叩いたくせに、なにも思いつかない。


——ピンポーン。

するとチャイムが鳴り、一木さんが対応した。
お客さまだろうか。


「はい、お願いします」

「あの、どなたかいらっしゃるんですか?」

「いや、宅配業者だ」


ベッドが来るにはまだ早いのに。

それからすぐにやってきた宅配業者は、大きな発泡スチロール容器を抱えている。
なんだろう、あれ……。
< 74 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop