御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
それを受け取った一木さんはリビングに持ってきて、早速ふたを開けた。


「うわっ、すごい」


私が大きな声を上げたのは、大きな毛ガニが出てきたからだ。


「実家から送ってもらった」

「えっ、ご実家って……今はカニの事業かなにかされてるんですか?」

「あはは。違うよ。あっちはいいものが手に入りやすいから。カニ三昧、できなかったしな」


もしかして、あのツアーのこと?


「それで、わざわざ?」

「親父もお袋も、俺が駆けつけられて喜んでた。飛行機のチケットを手配してくれた人にお礼がしたいからって言ったら、ずいぶんでかいのをよこしたな」


彼がそう言うのも無理はない。
だってこんなに大きな毛カニ、初めて見た。


「ああっ、すみません。こんなことまでしていただかなくても……」

「なに言ってるんだ。お礼だと言っているだろ。すごく、助かったんだ」


エビでタイを釣るって、こういうことを言うのかもしれない。
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