御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「それじゃ、食うか」

「はい、いただきます」


こんなにカニいっぱいの鍋なんて初めてかも。
一木さんの実家から送られてきたカニは、身がぎっしり詰まっていてほんのり甘くて、言うことなしだった。


「一木さん、なにを入れます?」


すぐになくなった彼の器に追加を入れようとすると「カニ」と返ってくる。


「カニはわかってますよ。その他のものです」


なにが好きなんだろう。


「カニだけでいい」

「あはは。もしかして野菜苦手ですか? でもダメです。野菜も食べていただきます」


肉や魚介類ばかりでは、ビタミンが取れない。
私は半ば無理やり水菜とネギも入れて彼に渡した。


「別に食えないわけじゃない。カニが好きなんだ」


と、野菜はスルーしてカニに手を伸ばす彼が子供みたいでちょっと笑える。

最後のしめは雑炊で。
カニのエキスたっぷりの雑炊は、メチャクチャおいしかった。


「はー、うまかった」

「こんな時期ににカニをいただけるなんて、びっくりでした」


なんとなく冬のイメージがある。


「毛ガニは年中獲れるんだ。タラバは秋から冬かな」


そんなこと、知らなかった……。
< 79 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop