御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「五木ひろしで」

「は?」


偽名で搭乗なんて本来はやってはいけないけれど、この際仕方ない。


「棚田さん、お願いします!」


私が急かすと『あっ』と我に返った様子の棚田さんは、席を押さえてくれた。


「それじゃ、すぐに振り込みます。空港のカウンターに行くように伝えますので」

『了解。それじゃ、また』

「ありがとうございました!」


私はすぐにインターネットバンキングで旅行代金を指定口座に振り込んだ。
これで、空港の棚田さんの旅行会社のカウンターに行けば、チケットを受け取れるはずだ。

でも……。


「どうしよう、これ……」


貯金残高があと五千円しかない。
いや、今はそれより……。

さっき五木さんに書いてもらった電話番号に電話をすると、彼はすぐに出てくれた。


「あの、プレジールの蓮川です」


そういえばさっき自分は名乗らなかったな。


『あっ、君』

「チケット取れました。空港のカウンターで受け取れます」


それからカウンターの場所や受取方法について説明していたけれど……。
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