御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「そうなんですね。あー、すごく幸せ」


こんなに幸せな一日を過ごせたのは、一木さんのおかげ。


「大げさだな。また送ってもらうさ」

「わー、うれしい」


となると、やっぱり私はここに住み続けるということだろうか。

いや、あのベッド……。
あんなに高いものを買ってもらって、すぐに出ていくとは言いにくい。

しかも、同居なんて無理と思っていたけれど、意外と楽しそうだ。
私は、ちょっと家政婦をやってもいいかななんて思い始めていた。


危なっかしい手つきで皿洗いも手伝ってくれた彼は、こうしていると一流企業のエリートとは思えない。
でも明日から私はこの人の下で働くんだ。


片付けを済ませたあと、コーヒーを淹れ、彼と少し話した。


「あの、明日から頑張りますので、よろしくお願いします」


実のところ、なにを頑張ればいいのかわからないけど。


「英莉が言ったんだぞ」

「なに、を?」

「仕事ばかりしてるとつまらない人間になるってさ」


そうだった。
仕事の話なんてすべきじゃなかった。
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