御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
『欲しい』って……。
そんなことを言われたのは初めてだ。

もちろん、仕事上でだとはわかっている。

でもこんなにいい男にそんなことを言われると、勘違いしそうになる。
いや、一度くらい勘違いしてみたい。


「は、はい」

「それに、これから一緒に暮らしていくんだ。すっぴんくらいでアタフタするな」

「そ、そうですよね……」


ダメだ。思考回路がショートしてしまって、うまく物事が考えられない。


「今日は寝ろ。明日は初日だから気疲れするだろう」

「はい。おやすみなさい」


シュンとトーンダウンした私は、彼に頭を下げ、部屋に戻った。


『これから一緒に暮らしていく』って、本気なのかな……。
家政婦だけなら、別のところに住んでもなんとかなるのに。

でも、家賃が浮くのはありがたい。


もう少し様子を見ることに決め、その日はふかふかのベッドに入り、目を閉じた。

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