放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。

「あの人って本当にモテるんだね~」



莉奈がうんうん、と頷く。



「ひなた、だいち。・・・か」



小さく呟いた慣れない名前。



クラスが違う私は名前を知ってるだけで、後は莉奈がくれる情報しか知らない。無論、彼が私の名前を知ってるかも定かではない。



そういうわけだからもちろん、接点は何も無い。


あ、でも体育が3クラス合同だからその時ぐらいかな。男女別だから姿を見るぐらいだけだけど。


だから関わりがあるなんて言えるには皆無で、そんな彼と瞳が合うのはきっと偶然。



・・・だと思ってたのに彼と廊下ですれ違うたびに、必ずと言っていいほど瞳が合う事に最近は疑問を覚える。



もしかしたら、私が彼のことを変に意識しすぎて、見ているせいなのかもしれないけど。




「日向大地ってね、女の子からの告白ぜーんぶ断ってるんだって」


「え!なんで!?」


「翔也(ショウヤ)から聞いたんだけどさ、一度も彼女いなかったらしいよ」


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