放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。
そこにはユニホーム姿のまま走って、外に出て行く葉月の姿が。
それに続いて平松が出て行くのが分かる。
俺も急いでその後を追おうと、タオルと持っていたスポーツドリンクを投げ捨て、閉まったドアに手をかけると。
「莉奈、私が行ってくるから葉月君の事は心配しないで・・・!」
廊下から聞こえた彼女の声が、鼓膜を震わせる。
ドアノブを握る手に力が入るが、やはり開けるのを躊躇してしまう。
“あんなこと”した俺に、今更彼女を追う権利なんか無いというのは重々承知だ。
だけど、それでもやっぱり。
――――行かせたくない。
今、行かせたら、葉月の気持ちが相川さんにいってしまうかもしれない。二人が付き合ったら俺は、笑って祝福なんて出来ない。
だから、まだ、相川さんの片想いであるうちに。
「っ、」
急いでドアを開けたときにはもう、彼女は走り出していた。