放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。
中にいるのは二人だけなのだろうか。
でも、先程の琴美ちゃんの声から中からは物音一つ聞こえない。
「こと、み」
日向君の声が、鼓膜を震わせる。先程とは違う意味で、心臓の音が早くなっていく。
戸惑いと、不安の色で一杯になった私には、冷静に考える思考なんてこの時、持ち合わせていなかった。
「・・・」
駄目だって分かってるのに。
知らなければいいことを、知りたがってしまう私は、弱い。
「・・・っ、」