放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。
変わっていくものはたくさんある。
だけど、変わらないものがここにある。
少し大人っぽくなったはずの5人の―――。
子供のような無邪気な葉月君の笑顔。
笑うと目が細くなる平松君の笑顔。
いつも隣で見てた安心する莉奈の笑顔。
太陽みたいに笑う日向君の笑顔。
5人の、笑顔だけは出逢った頃と同じ輝きで、それがなんだか嬉しかった。
「俺達が思い出す“あの頃”は皆同じ“あの頃”だ。寂しいことなんかない。だから、進もう」
莉奈が涙を拭う。私も同じように、制服の袖に涙をしみこませる。
「5人で手をつないで、『せーの』の合図で一緒に超えよう」
日向君がもう一度私の手を強く握り、無理やり校舎に背を向けさる。平松君も同じように莉奈の手を引いた。
「え、俺どこ入ればいいの?」
こんな感動のシーンなのに、笑いをとる葉月君はさすがだ。