放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。






静まり返るそこ。

心の準備が追いつかない。





――――ねえ、行かなきゃだめなの?

――――ねえ、まだここにいたいよ。







思えば思うほど涙が溢れ出る。

もう一度、背を向けた校舎を振り返り見る。4人も釣られてもう一度振り返った。


強い風が、吹いた。

まるで前を向け、と言わんばかりの追い風。


「…」


私達が作り上げた青春の轍(ワダチ)。

どうか消えないで、私達の道しるべ――。





「それじゃあ、行くぞ」



日向君の言葉に5人の結ぶ手に、力が入る。





思い出の校舎に、

着慣れた制服に、

大好きな仲間に、






あの日の私たちに、


別れを告げて。





―――――大丈夫だよ。

―――――いってらっしゃい。






「せーのっ・・・!」







青春の日々が、5人の背中をそっと押した。









放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。完





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