放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。


もし彼氏ができたら一緒にお弁当を食べたいな、なんて淡い期待を胸に入学した高校も2回目の春を迎えてしまった。



高校生になれば少なくとも好きな人なんて自然に出来るだろうと思っていた私。だけどそれは間違いだった。



「美空どうすんの?このままだと高校生活、何もないまま終わっちゃうよ?」

「分かってる。分かってるから、それ言わないで。本当にそうなりそうで怖いんだから」



机にガクッと崩れ伏せる。


「いつまで恋に恋してるのさ」



ため息混じり、呆れ顔でそう言うと莉奈(リナ)は紙パックのオレンジジュースを口にした。


やけくそだっ、と言わんばかりに、私も小さな紙パックに入っているオレンジジュースを飲んだ。


いつも飲んでいる抹茶オレが無かったので、仕方なくオレンジジュースを買ったのだが、久しぶりに飲んだそれはいつもより美味しく感じた。


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