[実話]16歳〜私の生きた道〜
体調が悪くて、ひとりロビーで休んでいたら、いつの間にか午後になっていて、もうすぐ夕方になる頃だった。
パタパタと走る音が聞こえて、振り向くと看護師がいた。
「早く病室に、容体が急変しました。」
その言葉を聞いた時、父親の『死』を確かに私は感じた。
皆が声をかけている中、やっぱり私はひとり立っているだけだった…。
ゆっくり…ゆっくりと…『死』は、近づいて来る。
医者が言った。
「もう心臓が動いていません。薬の力で無理やり心臓を動かしています」
そう言うと、母親や姉に装置の説明をし、人工呼吸器をはずした。
「14時32分、ご臨終です」
医者は静かに言った。
父親が死んだのに、なぜか皆、
「ありがとうございました」 
と、頭を下げた。
やっぱり私は、理解できなかった。

皆それぞれ動き、部屋を片づけはじめて、私はまた、ひとりロビーに出た。

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