[実話]16歳〜私の生きた道〜
灰色の空
出棺の時、空は淋しげに鳴いた。
4月なのに冷たい風が吹く。
私は家族とは別の車に乗って、火葬場へと向かう。
1分1秒が長く感じた。
ざわざわと身体中を動く何かが私を襲って来て、火葬場に着いたものの、なかなか中へ入れなかった。
親戚が私に話しかけ、中へ入るように言うけれど、お骨が焼き上がるまで…身体が動かなかった。
お骨が焼き上げられたことを知ると、私の身体は機械のように動き、親戚の列を押し退けて一番前へと進んだ。
以前見た遥花の骨より父親の骨は大きくて、白と言うよりは少し緑がかった色をしていた。
骨壺へと収めようと箸を握って手を伸ばしたとたん、私の意識は途切れた。

目が覚めたのは車の中で、ピリピリと痛む手を見ると、鉄板に触れたのか線状の火傷ができていた。
雨の音がポツポツと車内に響く。
従兄弟は私が目を覚ましたのに、気づかないふりをした。
葬儀場に戻り、皆それぞれ帰って行く。
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