[実話]16歳〜私の生きた道〜
白煙
バスの中で大人たちの話声が聞こえる。
「あの子でしょう? 一緒にいた子は…」
「泣きもしないでねぇ…」
「目つきからして嫌な子よねぇ…」
「なんで遥花ちゃんだったのかしら…」
「気の毒だわ」

……
ウルサイ…
ダマレヨ…

火葬場に着くと遥花の棺は台の上に乗せられ、遥花のお父さんが係の人の指示に従い、一本の線香に火をつけてあげる…。
白煙がすぅっと天井にのびると、手をあわせ祈る…。
遥花がちゃんと逝けるように…。
「これで最期なんだな…」
遥花のお父さんが小さな声で言った言葉は、私の中で今もはっきり覚えている…。
焼き場に入れる前に全員で黙祷を捧げる。
あぁ…最期なんだ…。
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