[実話]16歳〜私の生きた道〜
何度やっても、それはよける。
――触っちゃダメ!――
遥花の声がするそれは、強く言った。
――触ったら苦しいからダメ危ないからダメ!――
悲しそうに、今にも泣き出しそうな声。
手をのばさずにはいられなかった。
例えそれが幻覚や幻聴でも、得体がしれないそれは遥花なんだと。
私の直感が教えた。
優しく触れたそれは、あの日と同じ痛みと映像を私の身体に与える。
焼ける痛みと苦しみ、真っ赤な世界。
嗚呼、遥花だったんだね
傍にいたんだあの時も…
事故の日のことが鮮明に頭の中に流れ込んでくる…。
だけどそれは私の記憶じゃない…。
遥花の記憶。
まるで痛みや苦しみ哀しみを分かってくれと、言っているような…。