[実話]16歳〜私の生きた道〜
ホテルを出て歩く、空を見ると綺麗な夕焼けが広がっていた。
「楽しかったかな?」
「とても…」
「そっか、よかった。」
もう会えなくなるんだろうな…
そう思うと淋しくなって涙がこぼれ落ちそうになった。
ここで泣いてしまったら、幸せが幸せじゃなくなる…
唇をぎゅっと噛んで我慢した。
バス停につくと、健さんは優と反対方向に帰るため、そこで別れた。
それまでつないでいた手を、ぎゅっと強く握りしめられて、
我慢していた涙が一粒ポロリとこぼれ落ちてしまった。
健さんの後姿が涙でよく見えなかった。
涙を拭いて、バス待ちの時間にメールを打つ。
≪今日は、ありがとうございました。短い時間だったけど、とても楽しくて幸せでした。気をつけて帰ってくださいね。≫
きっともう、返信もこないんだろうな…
送信ボタンを押すと胸がギュッとしめつけられた。
夕焼けの空を見上げると、さっきよりも綺麗だった。
「綺麗…」
そう呟いた途端に、返信がきた。
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