クラウンプリンセスの家庭教師
エピローグ
「エデル師と、伯母上が結婚するそうだ」
トリスが簡単に告げると、カイはやっぱり、の、ような顔をした。
「母の言っていた、伯母上の恋人というのは、エデル師の事だったのだな」
二人の過去に何があったのか、トリスには知るよしも無かったが、共にいられない日々も、互いを想い合っていた二人の意志の強さには驚くばかりだった。政治的に難しい立場だった二人。年を経て、なすべき事をなしたと、納得して、関係を変えられる柔軟さ。
「カイも、エデル師のように、私を思い続けてくれたのだろうか?」
「……どうでしょう、私は、自分がもっと理性的な人間だと思っていたんですけどね」
理性を無くしたカイの激情というか熱情というか、……まあ、とにかくいろいろすごかったな、と、新床を思い出してトリスは赤面した。
「……って、トリス、何を赤くなっているんですか」
「いや、何でも無い! 何でもないから、仕事に戻ろう」
執務室で襲われた事はまだ無いので、これ以上余計な事は言うまいとトリスは思った。
ベアトリクスは願う、良き女王になる事を。
カイも願う、女王の良き夫である事を。
そして、互いを愛し続け、共にあり続ける事を。
(終)
トリスが簡単に告げると、カイはやっぱり、の、ような顔をした。
「母の言っていた、伯母上の恋人というのは、エデル師の事だったのだな」
二人の過去に何があったのか、トリスには知るよしも無かったが、共にいられない日々も、互いを想い合っていた二人の意志の強さには驚くばかりだった。政治的に難しい立場だった二人。年を経て、なすべき事をなしたと、納得して、関係を変えられる柔軟さ。
「カイも、エデル師のように、私を思い続けてくれたのだろうか?」
「……どうでしょう、私は、自分がもっと理性的な人間だと思っていたんですけどね」
理性を無くしたカイの激情というか熱情というか、……まあ、とにかくいろいろすごかったな、と、新床を思い出してトリスは赤面した。
「……って、トリス、何を赤くなっているんですか」
「いや、何でも無い! 何でもないから、仕事に戻ろう」
執務室で襲われた事はまだ無いので、これ以上余計な事は言うまいとトリスは思った。
ベアトリクスは願う、良き女王になる事を。
カイも願う、女王の良き夫である事を。
そして、互いを愛し続け、共にあり続ける事を。
(終)