魔法使い〜大地が堕ちる刻〜
城の地下に眠る闇を照らす闇。ほんのりと薄暗いその場所で、悪魔ジャルシーオが封印されている。悪魔に攻撃を与えるには、高度な光を悪魔が操る闇以上のレベルで執行するか、闇よりも深き混沌たる暗黒で消滅させるしか方法はない。封印の仕方からみて後者ととれる。


「三人を引き戻すわけにはいかないからな(第一の封印の場にも悪魔がいたなら、そろそろこちらに襲撃…。今の内か、第三に行っている事を願うか…)。闇に属するものが混沌に戦くぐらいだ。レベルとして弱いな」



光の上位魔法に属する詠唱を叫び、魔法陣を敷き光を弾かせる。

闇は一瞬に晴れ、それと同時に封印を破ったか、闇より出でし憎悪の根源が絶叫し、黒い血の涙を流して咆哮する。

聖書(神が記す魔の書物。光だけを極め、闇を払う浄化の輝きを法に込める)を左手に、杖を右手に戦闘体勢。悪魔たる姿を前に一瞬その魔力に恐れを抱いたが、彼に潜む賢者の血が騒ぎだし、自分の魔力に勇みを得た。


『汝ら人間(クズ)が、いい気になるな。たかが封を施した力ごとき…、二度と通じん!』



ジャルシーオが右手を真上に翳すと、詠唱すらなくして闇が天井を貫き、天とを繋いだ。ここでは狭いというように、クイッと頭を振ると勢いよく外に飛びだし、闇の魔力を増幅させる。並の魔法使いでは歯などたたない。




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