淡花色
神社に寄ったその足で僕は友人を訪ねた。

「どうしたんだ?真。突然訪ねてきて。」

「ああ、これを渡そうと思ってな。」

僕は猿たちのいなくなった台座を差し出した。

「なんだこれ、みたことあるような感じがするけど…」

友人は台座を手にとるとしげしげとみつめていった。

「あの猿たちの台座だよ。今は神社の欄間でじゃれあってる。」

友人は僕を不思議なものを見るような目で見ていった。

「え、じゃああの猿たちは……」

「戻りたかったみたいだな。」

僕はそのまま呆然としている友人の家を後にした。
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