淡花色
入ってきたのは一人の女の子だった。色の白い子で歳は小学校高学年くらいだろう。

「なんだまた来たのか」

またいつの間にか出て来ていた店の主人が入って来た女の子を見ていった。

「返して」

女の子が月並みだが鈴のなるような声で喋った。きっと店の主人を見つめながら

「何度来たってダメなものはダメだよ。そこにいるお客さんもその絵が気になってるみたいだしな。」

いきなり僕に話をふられてびっくりした。そのせいで入ってきた謎の女の子には睨まれるし…。

「だってあれはお姉ちゃんの…」

なおもその女の子が話を続けようとした時……

「その絵買います。」
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