その花を咲かせて

日常





「いってきまーす!」



元気よく外にでる


私杉山瑞月(スギヤマ ミツキ)は今年高校2年生

になったばかりだ



すぐ近くからクスッと誰かが笑う声がする


そちらを向くとタメで幼なじみの中嶋大翔(ナ
カジマ ヤマト)がこっちをみて笑っている


「もぉ〜、なんでわらってるのよ〜」

彼に近づいて拗ねてみせる


「悪い、悪い。のんきな声が聞こえたもんで」

そう言ってまたクスクス笑ってる

「大翔、笑いすぎ」


そうやって、たわいもない話をしながら一緒に歩いてく


私と大翔はいつも一緒に登校してる。

付き合ってなんかいないけど、いつも一緒にいたから。家が近いのもあるけどね。



「あぁ、そういえば瑞月は今日の課題終わった?」

優しい顔で私を見下ろす大翔と目があった

私の頬がカァァッと熱くなるのを感じて思わ
ず目をそらす


「う、うんっ!ちゃんとやったよ」


私は大翔のその顔に弱い


大翔はかっこいい。

背は高い方ではないけど私よりずっと大きく
て、着崩したワイシャツからは引き締まった筋肉がちょうどよくついている。

髪の毛はふわふわサラサラで、顔は驚くほど整っていて。

笑うと切れ長の目が少し垂れてかわいくなるとことか

小さい頃から大翔が大好き。



「さすが瑞月。じゃーこの俺が丸つけしてやろう」

私は呆れたように大翔をのぞき込む

「そんなこと言ってなんにもやってないんでしょ?」

「バレた?」

大翔はいたずらっぽく笑う

「バレバレだよ」

「お願い」

もぉーずるいなぁ。。。


少し低めの声でそんなこと言われちゃったらドキドキして心臓がもたないよ


「特別だからね」

そう言うと大翔は嬉しそうに顔をほころばせた。

「サンキュ」

課題のノートを手渡すと、私たちはまた歩き始めた。

なんでもないような時間だけど、私にとってはすごく幸せな時間だ。




なんだかんだしていると学校が見えてきて、
校門をくぐると大翔は友達のところに行ってしまった。

大翔は男女問わず仲がいい。

明るく楽しくて、かっこよくて。

おまけにイケメンときたらモテないはずがないよね


「今日も大翔くんカッコイイなぁ」

「あれで彼女いないなんてもったいないよ」

「私、狙っちゃおうかな」

周りの女の子たちのこそこそ話が聞こえる


大翔はカッコよくてモテるのに彼女がいない

いや、つくらないって言った方が正しい



なんでなのかは分からないけど、告白も全部
断っているようだ。

前に「彼女つくんないの?」って聞いたら

「興味ない」って返ってきて、そういうことなんだって思った。


だから、私は好きって言葉を飲み込んだ。


< 2 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop