その花を咲かせて

ずっとまえから

大翔side





「みてあの子、すごい美少女」

「やばい、めっちゃタイプなんだけど」

「美男美女だね」



ほらこれだ

瑞月と一緒に歩くとまわりがざわめきはじめる

瑞月はまったく気づいてないみたいだけど。

気に入らねぇ、とまわりを一瞥していると



「大翔?」

当の本人が上目使いでのぞいてくる

「どうしたの?」

はー。。。無自覚でこれかよ。

自分が可愛いのちょっとは自覚しろよな


「別に、どうもしないよ」

ちょっと不機嫌気味に返事をする

「んー??ならいいんだけどさ」


瑞月が不思議そうに横を歩く。

肩くらいまで伸びた艶やかな黒髪がさらりと揺れた


「髪、伸びたな」

そう言うと瑞月は恥ずかしそうに長いまつ毛を伏せて

その指は毛先をクルクルと弄んでいる

「うーん...今切ろうかどうか迷ってるんだよねー」



目は伏せているのに横顔はどこか楽しげだ。

その表情に見とれていると、ふいに瑞月がひらめいたようにこちらをみた

「そうだ!大翔はどっちがいい?」

「どっちって?」

わざととぼけてみせる

「だから!髪の毛、長いのか短いのか」



ほんのり頬を赤く染めて、大きな瞳をキラキラさせて

「どっちでもいいよ」

「もぉ〜、それがいちばん困るんだって」

拗ねたように瑞月がうなだれる

俺はクスリと笑って

「どんな髪型でもお前は似合うから」

そう言うと、瑞月は嬉しそうにはにかんだ

「そっか!じゃあもうちょっと考えてみる」

「そうしろよ」

「うん!」






瑞月は色んな顔をする。

表情がクルクル変わって一緒にいて飽きないし、もっと見てみたいと思ってしまう。

美少女なのに自覚ないし

どこか危なっかしいところとか守ってやりたくなる

この感情は何なのかなんてとっくの昔に気づいてる。

けど、一歩踏み出せずに今の関係に落ち着いてしまっていた。

瑞月は誰にでも無邪気で、素直に感情をだすから。



当然モテるよな

他の奴にとられるんじゃないかっていつも気になってしょうがない

それなのに俺は側にいることが当たり前になってしまって、素直になれない。

付き合ってもいないのに幼なじみだからって瑞月の隣を占領してる


瑞月は優しいから、なんの文句も言わずに隣にいてくれている










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