壬生狼のお嫁さん!?
「……」


「あっ!御免なさい」

移動して他の道に出たにも関わらずなかなか離してくれない男の子に睨みを効かせるとすぐ気づいたのかパッと離れてくれる。それにしても顔が真っ青だし冷や汗をかいていてやけに周りをきにしている。…怪しい。


「私は結月。アンタ、さっきから誤ってばかりね。それにしてもさっきのは何よ」


「俺は総司…沖田総司と言います」


はい?沖田総司といえば新選組のあの沖田?
いや、そんな訳ない。どうせ同姓同名だろうと思いつつ一応気になるので問いだだしてみる。

「新選組の?」


「えぇ、お恥ずかしながら!!」


…本物だ。まさかこんな形で出会うとは思いもしなかった。


「訳あって甘味処の娘さんに思いを伝えられ。気付いたら走り出してて」


「あの甘味処のお千さんって美人じゃない。どうして断ったの?」

そう、お千さんと言えば顔も美人だし身体のつくりも凄くいいから狙ってる男性はとても多いらしいが何度男性から思いを告げられても答は必ず否(いな)と応えるらしく噂では、既に思い人が居るのではないかという話だ。その思い人が沖田総司だったとは…。

「ニガ…なんです」


「はい?」


「俺、女性が苦手なんです」










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