季節外れの向日葵
桜の季節に再会
三年ぶりですね、先輩。
満開の桜並木が新入生を迎える季節
今年、高校無事に受験に合格した私、井上菜々は入学式までまだ時間があった為とある場所に立ち寄っていた。
まるで新入生を歓迎しているかのような快晴に海の穏やかな波音
「綺麗な空、綺麗な海…」
私は砂浜にタオルを敷いて新品の制服が汚れないように座り目を閉じた。
視界が閉じると聴覚が刺激され、普通に聞き流していた事が入ってきたりする
体に触れる風は冷たく春の浜辺は少し冷えるかもしれない。その風に乗って感じる海の香り、桜の香り、登校している学生の声。
そして、ザクザクした音を恐らくわざとだろうけど立てながらこちらに近づいてくる革靴の音
「何やってんだよ、菜々」
瞼を開けると、目の前には眉間を寄せながら不機嫌そうに私を見ている同じ制服を着た従兄妹の井上那智がいた。
前髪で右目が隠れていて近くで見ないとよくわからないけれど、那智は容姿が整っていることを私は知っている。
不機嫌な表情を無くせば那智はきっと女子からモテるはず。
でも、本人は望んでないんだよね。
「春を感じてたの。高校生になったら違う見え方や感じ方をするんじゃないかなぁって思って」
「相変わらずだな。つか入学式早々遅刻する気でいんのか?」
「まだ時間あるから大丈夫」
「クラス表も確認してないくせによく言うぜ」
「私は那智とあぐりが同じクラスなら文句は無いよ?」
如月あぐりとは中学生の時の同級生であり私の親友。見た目は私と正反対だけど中身はとても純粋な女の子。
私は那智から見た目とは裏腹に性格が悪いと昔から言われてきている。
否定はしないけど。
「六クラスもあるんだから離れる可能性の方が高いだろ」
「那智は嫌?私とあぐりが同じだと」
「……チッ……別に…」
付き合いが悪い那智と関わる生徒は少ない。誰かと壁を作り深入りしない。
中学一年生までの那智は誰とでも仲良くなれる明るい少年だったんだけどね。
「行くぞ、奈々…」
「わかったよ」
これ以上、に逆らうのはよくないのは那智を見てわかった。
今の那智は、寒色に近い怒りの色だったから