強引社長といきなり政略結婚!?

私が不思議そうにしていることに気づいた多恵さんが白状する。


「多恵さんが?」

「昨日、汐里様がお支度をされている間に、世間話の延長で……。申し訳ありません。余計なことを……」


多恵さんが申し訳なさそうに肩をすくめる。


「あ、ううん。大丈夫」


座る時にお尻が痛いだろうと、この座布団を。
壊れてしまったお気に入りのブルーレイは、新たに買い直し。
彼からの突然のプレゼントを前にして、言葉が出てこなかった。


「朝比奈様は、本当に誠実で素敵な方でございますね」


多恵さんはしみじみと言った。
その言葉にわけもなく脈が乱れる。
ここ何日かの彼の行動を思い返して、胸の奥が波立ち、落ち着かなくなった。


「汐里様? どうかなさいましたか?」


急に呼びかけられてドキリとした。

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