強引社長といきなり政略結婚!?
「――ううん、なんにも」
慌てて手を振って誤魔化す。
「お花、花瓶に挿して参りましょうか」
私の脇に置いていた花束を受け取ろうと、多恵さんが両手を広げる。
「あ……ううん」
間をおいてから首を横に振った。
「自分でやってくる。花瓶、どこだっけ?」
多恵さんが微笑む。
「では、花瓶をお持ちしますので少々お待ちくださいませ」
どこか嬉しそうに言い置き、多恵さんは部屋を出ていった。