強引社長といきなり政略結婚!?
「会長にも紹介しようと思ったんだけど、真紀さんからもう休んでるって聞いて、部屋で映画を観ていたんだ」
「ゴルフ場の件、わしはまだ了承しておらんぞ。ったく、勝手に話を進めおって。日下部にも今日、きつく言い聞かせたところじゃ」
……え? 父の会社を傘下に収めることは、社内ですでに決定したことじゃなかったの?
今の言い方だと、朝比奈さんひとりが勝手に進めているように聞こえる。
おじい様から朝比奈さんへ視線を移す。すると彼は、動揺したようにおじい様を宥めに走った。
「会長、その話はまたあとで」
おじい様を連れて部屋を出ていく。
私はひとり、ポツンと取り残されてしまった。力が抜けたようにソファに腰を下ろす。
テレビ画面は、ブルーレイのトップメニューに戻っていた。
なんともいえない心細さに包まれる。
茫然としたまま待っていると、しばらくして朝比奈さんが戻ってきた。
「汐里、悪かったね」
私の隣に座り、引き寄せる。