強引社長といきなり政略結婚!?
「別に大丈夫ですから。でも、ゴルフ場のこと、ちゃんと決まったわけじゃないなら、そう言ってくださいよ」
落ち込む自分の気持ちを隠すように、明るく笑い飛ばす。
てっきり、このまますんなり朝比奈さんとの結婚話が進んでいくのかとばかり思っていた。私の気持ち次第で、難なく決まるものだと。だから、自分の気持ちにも素直になれた。
おじい様が承認していないなんて、きっと大問題だ。
「ダメならダメで、早く言ってくれないと。今ならまだ――」
「まだ、なに?」
私の言葉を遮った朝比奈さんが、私を引き離して顔を覗き込む。
「まだ引き返せるって言いたいのか」
強く見つめられて、ぐっと言葉に詰まった。
「悪いが、俺は無理だ。引く気はない。一度決めたらやり抜く」
揺るがない瞳が私を射抜く。
気持ちを隠して笑いに変えようとした自分が恥ずかしかった。