強引社長といきなり政略結婚!?
「……あー!」
思い出した!
西野浩輔。高校一年生の時まで近所に住んでいた幼馴染だ。父親がホテルを経営していて、彼はロンドンだかローマだか、ヨーロッパのどこかへ留学したはず。
いつだったか、西野家自体は関西のほうへ越してしまった。
「思い出してくれた?」
「うんうん。本当に久しぶりだね。全然わからなかったよ」
「いい男になった?」
人懐こい笑みは、あのころのままだ。
「うん。メガネもかけてなかったし。……あ、ひとまず座る?」
聞くと、彼はうなずいた。
空いているカウンター席へ案内すると、すぐにゆかりちゃんが水を持ってきてくれた。私に含ませたような笑みをよこす。ついでに、脇腹を小突かれた。
「ご注文は?」
「うーん、そうだなぁ……」
浩輔くんがメニューをざっと見る。