強引社長といきなり政略結婚!?
「おいおい、ゆかりちゃん、聞き捨てならないなぁ。だれがどうでもいいって?」
いつもの常連さんがつっかかる。
「だって、私だってもっと若い人からモテたいんです」
「俺だってまだまだ若いぜ?」
着ていた作業着を一枚脱ぎ、Tシャツで胸を張る。ところがそれは逆効果だったようで、ゆかりちゃんは「もう、放っておいてください」と、いじけたように私の陰に隠れてしまった。
食べ終えた浩輔くんが会計に立つ。
「ところで、今日はどうしてこの店に?」
レジを打ちながら尋ねる。
「汐里の家に行ったら、ここにいるって教えてもらったんだ」
「うちに寄ったの? いつ日本に帰ってきたの? 今はどこに住んでるの?」
浮かんだ質問を次々にぶつける。
浩輔くんは面食らったような顔をしてから笑った。
「一気に聞かれても困るな。それはまたあとでね」
「……あと?」
私が首を傾げると、浩輔くんは意味深な顔をして「おいしかったよ」とお店を出ていってしまった。