強引社長といきなり政略結婚!?

父とおじさんが睨み合う。
こんなふたりを見るのは初めてだった。空気が凍りつく。

そんな中であっても、浩輔くんは口元に笑みをたたえていた。こんな状況で、どうして笑っているのか。
思わず浩輔くんを睨むと、さらに表情を崩してにっこりと笑い返された。まるでこの状況を楽しんでいるみたいだ。

重苦しい沈黙が漂う中、リビングのドアが開けられた。


「失礼いたします」


そこから多恵さんが顔を覗かせる。


「朝比奈様がお見えです」

「朝比奈さんが!?」


嫌な空気がすぐさま吹き飛ぶ。嬉しさに、私はついソファから立ち上がった。


「こんにちは」


異様な雰囲気を察知したのか、中に入ってきた朝比奈さんは挨拶のあとに眉をピクリとさせた。


「コンラッド開発の朝比奈社長ですか?」

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