強引社長といきなり政略結婚!?
◇◇◇
フレンチを食べ終え、私は再び朝比奈さんが運転する車に乗っていた。
「汐里、早いところ婚約を済ませよう」
「どうしてですか?」
まだ会社のことも不安定なのに。朝比奈さんも父も『心配ない』と言ってくれてはいるものの、やっぱり確実性がないと難しいんじゃないか。
「汐里を連れ出しにくい」
私を連れ出しにくい?
今まで、そんなふうに感じることはなかったけれど……?
いつも両親に『お借りします』ときちんと断って、了承だって得ているのに。
「藤沢社長の手前、汐里を外泊させにくい」
「……外泊?」
――って、つまりは……!
思い浮かんだシチュエーションが、私の鼓動を速める。
「婚約すれば、体面的にも問題ない」