強引社長といきなり政略結婚!?
「まぁ、大人の事情といえばいいのかな」
つまり、会社の都合上というわけか。
それなら尚更、身を引いてほしい。
「でも、それだけでもないかな」
顎に手を添えて少し考えるようしてから、浩輔くんがいたずらっぽく微笑む。
「汐里は、あの時のキスが偶然起きたことだと思ってるみたいだけど、ちょっと違うんだなー」
「……なにがどう違うの?」
浩輔くんが私に一歩にじり寄る。
私は自転車ごと後ずさった。
「あれは、汐里の唇を虎視眈々と狙っていた結果。つまり、あの時の俺は汐里のことが好きだったってわけー」
浩輔くんがおどけるように言う。
相手が誰であれ、突然の告白に鼓動が乱れる。
「で、でも、それは過去の話でしょ」