強引社長といきなり政略結婚!?
自分の気持ちに嘘を吐くことが、こんなにもつらいことだとは思わなかった。
朝比奈さんのそばにいられるのなら、おまけでもいい。朝比奈さんが私にくれた言葉が、全部嘘だとしてもいい。
正直、そう思い始めていた。今日、婚約者候補だという女性が現れるまでは。
でも、もう終わり。あのおじい様が、私との結婚を認めるはずがないのだから。
「西野浩輔か」
朝比奈さがポツリとつぶやく。
「え?」
「西野浩輔のほうがいいってことか」
「ち、違います!」
「それじゃ、どうしてアイツの車に乗ってた? どこへ行こうとしてたんだ」
掴まれた肩が痛い。
「どこって別に……」
訳がわからないまま車に乗せられてしまったから。