強引社長といきなり政略結婚!?
その場にスタンドで立てかける。
もう、こんな時に限って!
私が蹴散らした大きなゴミ箱を元の位置に戻しゴミを拾い始めていると、すぐそばに自転車が止まった。
「大丈夫か?」
「放っといてください」
誰のせいだと思っているのか。
鼻息を荒くしてゴミを拾っていると、詐欺師まで自転車を降りた。私の前にしゃがみ込み、ゴミに手を伸ばす。
「律儀な性格なんだな」
「あなたには関係ありませんから」
誰のせいでこんなことになっていると思っているのか。
「朝比奈一成」
「……は?」
「俺の名前。“あなた”じゃなくて、ちゃんと名前があるから。それにしても、逃げようと思えばできたのに」
彼がクスクスと笑い出す。