強引社長といきなり政略結婚!?
「汐里さんと結婚したいから」
あっけらかんと言う彼の顔を弾かれたように見た。
とんでもないことを言っているのに、穏やかな笑みを浮かべている。セリフと状況がまったく合致していない。
「からかわないでください」
「からかってるつもりはないよ。俺は本気」
思わず言葉に詰まる。
プロポーズはおろか、男性にだって免疫はないのだ。状況がどうであれ、そんなことを言われてドキッとしないわけがない。
「イ、イケメンだからって、お、女なら誰だって落ちると思ったら大間違いですから」
胸の高鳴りを誤魔化すからか、つっかえてしまった。
「……俺がイケメン?」
自覚がないのかポカンとする。彼は自分を指差して首を傾げた。
無自覚は罪だ。
「誰彼かまわず口説いてるわけじゃない。プロポーズなんて初めてだ」