強引社長といきなり政略結婚!?

「汐里さんと結婚したいから」


あっけらかんと言う彼の顔を弾かれたように見た。
とんでもないことを言っているのに、穏やかな笑みを浮かべている。セリフと状況がまったく合致していない。


「からかわないでください」

「からかってるつもりはないよ。俺は本気」


思わず言葉に詰まる。
プロポーズはおろか、男性にだって免疫はないのだ。状況がどうであれ、そんなことを言われてドキッとしないわけがない。


「イ、イケメンだからって、お、女なら誰だって落ちると思ったら大間違いですから」


胸の高鳴りを誤魔化すからか、つっかえてしまった。


「……俺がイケメン?」


自覚がないのかポカンとする。彼は自分を指差して首を傾げた。
無自覚は罪だ。


「誰彼かまわず口説いてるわけじゃない。プロポーズなんて初めてだ」

< 24 / 389 >

この作品をシェア

pagetop