強引社長といきなり政略結婚!?

「え? だって婚約者は?」

「それはまだ解決してないけど……」

「なんだ、じゃあなにも変わらないということか」

「変わらなくないよ」


つい強く否定する。
あの夜の前と後とじゃ、全然違う。一成さんの気持ちを知ることができたし、私も素直になれた。周りの状況にまだ変化はないけれど、一番肝心なふたりの想いをひとつにできたから。


「そう? 俺には変わらないようにしか見えない」


にこにこ顔で言われて、思わずムッとする。心の中なのだから、見えなくて当然だ。


「私、行くね。遅刻しちゃうから」

「送っていくよ」

「遠慮します」


冷たく突っぱねると、浩輔くんは唐突に自転車のカゴから私のバッグを奪った。


「あ! ちょっと!」

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