強引社長といきなり政略結婚!?

それを持ったまま車へ乗り込もうとする。
慌てて自転車を立てかけ、彼を追う。


「返してってば!」

「やーだよー。返してほしかったら助手席においでー」


ふざけたことを言いながら、浩輔くんはさっさと運転席に乗り込んでしまった。
あの中には財布もスマホも入ってるのに。

……もう。
仕方なく自転車を門の内側に停めなおし、助手席のドアを開けた。


「おりこうさん」


座った私の頭でも撫でようとしたのか、伸びてきた浩輔くんの手を容赦なく払う。


「怒った?」

「当然でしょ」


見せつけるように大きなため息を吐きながら、着けていた手袋を外した。


「ま、怒った顔もかわいいけどね」


とことんふざけ倒すつもりなのか。

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