強引社長といきなり政略結婚!?
浩輔くんは楽しそうに笑った。
ものすごく癪だ。
「乗ったんだから返して」
手の平を上にして浩輔くんに突き出す。
「ダメだよ。返したら降りちゃうだろう? だから、着くまでは返さない」
なんて理不尽な。
目を細めて睨んだのに、浩輔くんは無邪気な笑顔で私を見つめた。
なにを言っても話にならない。諦めておとなしくしているしかないようだった。
車が静かに発進する。
隙を見せてたまるものか。妙な闘争心で体をこわばらせる。
「そんなに硬くなるなって。別に連れ去ろうってわけじゃないんだから。ちゃんとお店に送り届けるよ」
嘘じゃないだろうけど、容易く身を委ねられない。
「どうして藤沢ゴルフ倶楽部なの? ゴルフ場なら他にいくらでもあるじゃない」