強引社長といきなり政略結婚!?
「うーん、そうだね。つい意地になったというか。朝比奈一成っていうライバルが登場したものだから、俄然やる気が出ちゃったんだよね」
本心から藤沢ゴルフ倶楽部がほしいわけじゃない。
私のこともそう。一種のゲーム感覚で事を進めているみたいだ。
「でも昨日、うちの父と一緒に藤沢専務のところで話し合いを」
悔しい気持ちでそこまで言ってしまい、余計なことだったと慌てて口をつぐむ。
敵に情報を漏らすなんて、私ときたら迂闊だ。
横目で見た浩輔くんの顔から笑みが消える。
「朝比奈一成もその場に?」
私はだんまりを決め込んだ。
とはいえ、なにか動きがあれば、孝志おじさんから浩輔くんには報告があるだろう。遅かれ早かれ、浩輔くんの耳には入る情報だ。
「とにかく、浩輔くんの思うようには進まないと思う」
かすかに感じる不安を払しょくするつもりで、自分にも言い聞かせる。