強引社長といきなり政略結婚!?
「三日も前に西野から預かったのに、日下部のやつ、忘れてたんだ」
「直接会ったわけじゃないんですか」
「たまたま不在の時だった」
それでさっき『これみよがしい会社に持ってきた“らしい”』と言ったのか。
「こんなことがあったのに、どうしてなんの連絡もよこさなかったんだ」
「大したことではなかったので」
無理やりどこかへ連れ去られたのなら話は別だけれど。それに、忙しい一成さんの気を煩わせたくない。
「数十分とはいえ西野とふたりきりになること自体、一大事だ」
一成さんは恨めしそうに言った。
「ごめんなさい」
「これからは、とにかくなんでも俺に話してくれ。汐里が大したことじゃないと思うことも全部」
あぐらから片膝を立てる体勢に変えた一成さんは、必死の表情で私に伝えた。