強引社長といきなり政略結婚!?
「詐欺師が来ているのでございます」
声をひそめて彼女が言う。
「……詐欺師?」
「汐里様が喫茶店で会ったという、あの詐欺師でございます」
彼女の言葉に目が点になった。
喫茶店で会った詐欺師って……あの人?
やだ、どうして!?
まさか、ハンカチを返してもらうために?
その前に、どうやってここがわかったの!?
思いもしない展開に頭は大混乱。いくら処理スピードを上げたところで、疑問と驚きしか浮かび上がらなかった。
もう会うこともないかもしれないと、胸を撫で下ろしていたところだったのに。
そういえば、庭先に見知らぬ車が停まっていた。
「それで、今どこにいるの?」
「旦那様と奥様とリビングでございます」
両親と――?
「なにを話してるの?」