強引社長といきなり政略結婚!?

初めて会った人からひとり娘を嫁にほしいと言われて、“はい、どうぞ”はないでしょ!

しかも、私だって会ったのは三度目だ。過去二回は数分程度。それで『異論はないだろう』は絶対におかしい!


「ああ、いたって正常だ」


父は胸を張って大きくうなずいた。

この朝比奈さんといい、両親といい、会ってすぐにそんな大事なことを即決できるとは、いったいどこまで軽率なのだ。
彼だけじゃない、両親まで頭のネジが数本抜けているのかもしれない。


「なんといっても、あのコンラッド開発の社長さんだというんだからね」


喜びを隠し切れないといった様子で母と笑い合う。
どうもふたりは、彼が大企業の社長という肩書きだけで信用してしまったらしい。


「本当にコンラッド開発の社長なの? 名刺なんていくらでも偽造できるでしょ」


詐欺師なら、そのくらいしていてもおかしくない。いったいどんな魂胆があるのかはわからないけれど。

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