強引社長といきなり政略結婚!?

自分じゃない他の人に言われることで、真実味が増していく気がする。
私たちはダメになんかならない。そう否定してみても、おじい様が倒れた事実がそれを消し去ろうとする。
大きな波のように心細さが打ち寄せてきた。
揺れる心を宥めるように、自分の体を自分で抱きしめる。


「だから汐里も、もう一度俺との結婚を考え直してみない?」


浩輔くんが運転席から身を乗り出し、私の顔を覗き込んだ。小首を傾げた彼が、流し目を送るように私を見る。
なにを考えているのかわからない目だった。


「……浩輔くんとは結婚しない」


小さい声ながらも、きっぱりと答える。
たとえ、一成さんと別れることになったとしても。


「どうして」

「どうしても」


詰問口調の彼に負けじと、私も強く答えた。


「家に帰りたいから、早く車を――」

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