強引社長といきなり政略結婚!?
「ちゃんと調べましたよ」
母が私を諭すように言う。
彼女によれば、名刺に書いてある電話番号に問い合わせをしたそうだ。ホームページで社長の顔も確認したらしい。
つまり、今私の目の前にいる人物は、正真正銘コンラッド開発の社長だと。
疑惑の目を向けていた私に、彼がまっすぐな目を注ぐ。
「それにね、朝比奈さんは藤沢ゴルフ倶楽部を助けたいともおっしゃってくれているんだ」
「え……? どういうこと?」
「汐里との結婚を切望してきた朝比奈くんに、うちの状況を黙っているわけにもいかないだろう? それで藤沢ゴルフ倶楽部の実情をお話ししたんだ。そうしたところ、『それならば会社も引き受けたい』と朝比奈くんが申し出てくれてね。うちとしては願ったり叶ったりというところだよ」
そういうわけか。両親がこの話にホイホイ乗ってしまっているのは、沈没寸前の会社を救ってくれるからだったのだ。
つまり、今までのお見合いがそうだったように、両親にしてみたら政略結婚というわけだ。
「そんなに簡単に決めちゃうの? どういう人かもわからないのに」