強引社長といきなり政略結婚!?

彼から並々ならぬ怒りを感じて、その顔すら見られない。

しばらく歩くと、一成さんの車が路肩に停車しているのが見えた。そこは多分、さっきまで浩輔くんの車が停まっていた場所だ。


「乗って」

「でも、シートが濡れちゃう」

「いいから」


押し込められるようにして、私は助手席に乗り込んだ。


「このまま送り届けるわけにはいかないから、とりあえず俺の家でシャワーを浴びよう」


そう言ったきり、一成さんは黙り込んでしまった。

弱まる気配のない雨が、激しくフロントガラスに打ちつける。ぴったりと張り付いた洋服が、私から体温を奪って体を震わせた。

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