強引社長といきなり政略結婚!?
◇◇◇
二十分ほど車を走らせて着いた一成さんの自宅は、ひっそりと静まり返っていた。
おじい様は入院中。一成さんによると、真紀さんはおじい様に付き添っているそうだった。
「着替えは用意しておくから、すぐにシャワーを浴びたほうがいい」
「でも、一成さんが」
私同様にびしょ濡れだ。
「二階にもバスルームがあるから」
それを聞いて安心した。広い屋敷なら、それもうなずける。
案内されたバスルームのドアが一成さんによって閉められた。大きな三面鏡に映った自分を見てギョッとする。髪の毛からは雫がしたたり落ち、顔色は真っ白。まるで幽霊のようだった。
熱いシャワーを頭から浴びると、冷え切っていた体がじわじわと温まっていくのを感じる。
ただ、心は不安でいっぱい。このあと一成さんからどんなことを言われるのか考えると、胃の奥が落ち着かない。
車の中が無言だっただけに、余計に怒っていることを感じないではいられなかった。