強引社長といきなり政略結婚!?
ところが、その車に私がおらず、走って探し出してくれたそうだ。
「本当にごめんなさい」
「謝るのは西野のほうだろ」
「違うんです。いろいろと全部です。そうだ。おじい様の容態はどうなんですか?」
それが一番重要なことだ。
「心配するな。安定してるから」
「よかった……」
不意に一成さんが私を抱き寄せる。
同じシャンプーの香りにドキッとさせられた。
「汐里が西野にさらわれたと知って、気が狂うかと思った」
申し訳ないと思う気持ちと、嬉しい気持ちが交錯する。
「ほんと勘弁してくれ。汐里のこととなるとブレーキが利かなくなる」
一成さんの腕の力が強められた。